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パワーデバイスの高速スイッチングに対応したプリント基板を開発したい
EVなどのモビリティやロボット、電力ネットワークの電動化・デジタル化により、パワーエレクトロニクス(パワエレ)技術の需要が増加しています。特に、次世代パワーデバイス(SiC、GaN)は高速スイッチングにより従来のSiデバイスに比べ損失が少なく、変換効率を高められるメリットがあり、注目されています。ここで、プリント基板の寄生成分(主として配線のインダクタンス成分)が大きいと、スイッチングノードに大きなサージ電圧やリンギングが発生し、回路動作が不安定になったり、部品を破壊してしまう要因となります。
この課題を解決するため、弊社では、寄生インダクタンスが小さくなるようなパターン設計方法や設計段階で電圧・電流波形、雑音端子電圧をシミュレーションにより予測する方法を開発しており、その事例を紹介します。
市販のSiC-MOSFET搭載ハーフブリッジ型DC-DCボードを題材として、電圧・電流波形の実測とシミュレーションを比較しました。図1に実測環境(ダブルパルス試験)を示します。回路駆動条件は、ドレイン-ソース間にDC600Vを入力、300V出力端子に400uHと300uFのLC平滑回路を接続し、負荷抵抗は33Ωとしました。また、ゲート駆動は外部からファンクションジェネレータを用いて制御し、ゲート電圧も外部からDC22Vを入力しました。シミュレーションは、パターンデータに基づき電磁界解析にてSパラメータを抽出し、回路シミュレータにてパワーデバイスのSPICEモデル等と統合し、電圧・電流波形を導出しました。
図1 高電圧・電流測定環境
実測とシミュレーションの比較結果として、MOSFETのドレイン-ソース間電圧および電流波形を図2に示します。実測波形に見られるサージ、リンギングの挙動をシミュレーションにて概ね再現できていることが分かります。なお、基板の寄生成分(電磁界解析にて抽出したSパラメータ)を用いない場合は、これを再現できず、基板の寄生成分が変化する原因となるパターン設計が重要であることを確認しています。また、高精度な電磁界解析を行うため、計算方法(有限要素法やモーメント法)の妥当性についても実測にて検証しています。
図2 電圧・電流波形の実測とシミュレーション比較
図2 電圧波形の実測と
シミュレーション比較
図2 電流波形の実測と
シミュレーション比較
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パワーデバイスの高速スイッチングに伴う挙動をシミュレーションで再現
市販のSiC-MOSFET搭載ボードを題材として、ドレインソース間電圧・電流波形の実測とシミュレーションの比較を行いました。電磁界解析にてプリント基板の寄生成分を抽出することにより、ドレイン-ソース間のサージ電圧やリンギングをシミュレーションにて概ね再現できることを確認しました。
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