プリント基板総合メーカー|RITAエレクトロニクス株式会社 > 事例紹介 > 高速差動信号伝送におけるプリント基板の伝送特性への影響
差動配線のペア内スキューの影響を知る
差動配線では配線の曲げ等が原因となり配線長差が生じる場合があります。
これを回避する為、短くなる側の配線に対して局所的に余長処理部を設けて同じ長さになるように調整する場合があります。
この場合、トータル配線長は同じですが、配線結合部でのペア2線の位相は等しくはありません。
伝送特性への影響はあるのでしょうか?
差動配線では配線の曲げ等が原因となり配線長差が生じる場合があります。
この差動ペア内の配線長差を意図した基板(図1)を作成し伝送特性を測定します。
実験基板はペア配線の総配線長は同じですが、配線端から結合配線に至るまでに線長差を意図的に生じさせてあり、線長差、0mm,0.05mm,0.1mm,0.2mm,0.3mm基板のSdd21とScd21(ディファレンシャルモードの信号入力に対するコモンモード出力量)を測定致します。
5種類の配線長差を有する差動配線のSdd21では明確な差異はありませんでした(図2(a))。
しかし、配線長差が大きいほどScd21が大きくなることが確認できました(図2(b))。
Scd21は、ノイズ問題の発生要因となるため増大は避けたい特性です。
実際の基板設計において差動信号伝送では総配線長を等しくするのみではなく、配線端から結合配線までの長さを等しくし、結合配線内では完全なディファレンシャルモード(逆相)になることが理想的です。
1回の配線曲げによって生じるスキューは配線幅および配線間隙が小さい結合“強”仕様の配線の方が小さくすることができます。
一方、結合が弱い仕様では、もともと互いの影響が小さく、結合配線にスキューが生じてもScd21の増大が少なくなります。
差動ペア内の結合度合いの選択に関しては、Scd21のほか,伝送損失Sdd21や、スリットまたぎ等のリファレンスの欠損によるノイズなど、悪影響を低減できるよう、設計状態や周波数を考慮して決定する必要があります。
結合配線までのスキューの差動伝送への影響は皆無です。しかし、コモンモードが生じる為、ノイズ問題に影響があります。
差動配線のペアはトータル配線長が同じ長さでも、結合配線までにスキューが生じている場合や差動配線内で生じる場合が多くなります。
この場合、差動信号の伝播特性であるSdd21に差異は無いが、Scd21(差動→コモン特性)に違いが生じます。
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