プリント基板総合メーカー|RITAエレクトロニクス株式会社 > 事例紹介 > 産業用カメラ・インタフェースCoaXPress(CXP)に対応したパターン設計
CoaXPressに対応したプリント基板を開発したい
産業用カメラ・インタフェースはパラレル伝送のカメラリンク規格が主流ですが、ケーブル・ボードの合理化をしつつ、大容量データの長距離伝送が可能な高速シリアル伝送(CoaXPress規格)の採用が進んでいます。CoaXPressは同軸ケーブルを用いたシングルエンド伝送が基本ですが、そこに電源と制御信号の伝送媒体を兼ねるという難しさがあります(図1)。この規格合致のためには、プリント基板のパターン設計と部品選択の方法が課題です。
図1 CoaXPressの電気接続図
(一社)日本インダストリアルイメージング協会(JIIA)の資料をもとに一部追記
この課題を解決するため、弊社では、CoaXPress2.0に対応したプリント基板の設計や完成品のサポートを行っております。その基礎検討として、独自に評価ボードを開発しましたので、この事例を紹介します。
実機検証システムの概略を図2に示します。基本的にカメラ側とホスト側のボードであり、これらは75Ωの同軸ケーブルで接続して双方向の信号伝送や電力供給を行っています。これらの制御は、別に設けたFPGAボードで行っており、カメラへの送出信号とホストからの受信信号の比較を行うことで、BER(ビットエラーレート)を測定して、最終的な通信性能を評価しています。カメラ側とホスト側のボードはCXPデバイスと同軸コネクタが4個搭載され、4CH同時動作時の評価が可能です。同軸コネクタはMicro-BNCを採用し、メーカーの異なる数種類を検証しました。また、電源重畳用の回路やインピーダンス調整用の回路、配線パターンの異なる6種の基板を作製し、パターン設計や部品選定の影響について検証しました。
図2 CoaXPress 2.0(CXP-12)インタフェース実機評価システム
(i)リターンロス(S11)
特性インピーダンス基準値に対して容量性と誘導性が交互になるパターン設計を行うことを第一として、インピーダンス調整回路の最適化や電源重畳回路の高インピーダンス化でS11を規格内に収めることができました。ここで、パターン設計時にコネクタの3次元構造を含む電磁界解析を適用することで、パターン設計の最適化を行うことができ、その妥当性を実測にて検証できました(図3)。
図3 リターンロス(S11)実測とシミュレーション結果
(ii)伝送品質(アイパターン、BER)
4CH同時動作時の受信アイパターンが良好であることを実測にて検証できました(図4)。この実現のためには、チャネル間クロストークの低減が重要であり、設計品質を検証するパラメータの一つとして、定量評価する手法を検討しました。また、同時動作時の伝送品質はパターン設計段階のポストシミュレーションにて検証することが可能であり、その妥当性を実機にて検証しました。
図4 4CH同時動作時の受信波形
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CoaXPress 2.0検証用オリジナルボードにて、安定動作を確認
産業用カメラインタフェースであるCoaXPress 2.0検証用のボードを独自に開発し、基板設計手法を検討しました。具体的には、リターンロス(S11)の規格合致とチャネル間クロストークの低減が必要です。使用するデバイスや部品の特性、およびシミュレーション・ソフトウェアの妥当性を把握したうえで、パターン設計時にシミュレーションして最適化する必要があります。
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