プリント基板総合メーカー|RITAエレクトロニクス株式会社 > 技術資料 > 方向性結合器基板を用いた電磁波吸収体のノイズ抑制性能評価|RITAエレクトロニクス株式会社
実機レベルにおける電子機器からの放射ノイズ対策として、電磁波吸収体、特にシート状に加工された電磁波吸収シートを用いる場合がある。そのノイズ抑制性能の評価方法としては、国際規格のIEC62233などで定められており、その評価治具にマイクロストリップのシングルエンド配線が用いられる場合が存在している(図1)。
これに対して、本検討では、マイクロストリップの結合配線にて設計される方向性結合器基板を用いて、シングルエンド配線の場合では捉えられない損失特性評価が可能か検討した。
方向性結合器としては1GHzを目標とする結合配線を有する方向性結合器基板を設計した(図2(a))。
これにはSMA同軸コネクタを実装しており、ネットワークアナライザを用いて4ポートのSパラメータを取得可能である(図3)。
本評価系では、図2(c)のように方向性結合器基板の結合配線上に電磁波吸収シートを貼付した状態のSパラメータを測定する。ここで、評価量となる損失量はネットワークアナライザから基板に対する出力に対して、4ポートで観測される電力の合計値として定義し、Sパラメータにて表現した。また、シングルエンド配線との違いを明確化するため、シングルエンド配線(図2(b))に電磁波吸収シートを貼付した状態(図2(d))の2ポートSパラメータを測定し、同様に入力に対する観測量から定めた損失量を求め、それらの比較によって検討した。
比較検討例として、磁性体のみの一様な電磁波吸収シートAと、磁性体シートとシールド効果を持つ導電体シートを重ねた電磁波吸収シートBの損失量測定結果を図4に示す。
また、これら損失量は各基板による損失を含むため、基板に対する損失量を減算した結果を図5に示す。
シートAは2基板で全く同等であるのに対して、シートBは明らかに方向性結合器基板による損失量が少なく、特性が異なる。
このように、電磁波吸収体の構造などによって、シングルエンド基板と同様な結論を得られたり、まったく異なる結論を得られたりすることから、結合配線による新たな材料定数評価の可能性が示されたと考えられる。
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