技術資料

EMI抑制ルールチェッカーを活用した低ノイズ設計

1.はじめに

弊社では、プリント基板からの放射ノイズ抑制のため、独自の実験に基づくパターン設計ルールの適用に加え、市販のEMI抑制ルールチェッカーを活用している。
このルールチェッカーの有効性をご判断頂くために役立つ情報として、チェック項目や方法、判定基準の妥当性について、評価パターンを用いた検証を行ったので報告する。

2.チェック方法

EMIルールチェック項目一覧を表1に示す。

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表1 EMI抑制ルールチェック項目一覧

表1 EMI抑制ルールチェック項目一覧

11項目の中で、「GVプレーンまたぎチェック」と「リターンパス不連続チェック」が、EMI抑制には特に重要である。また、全信号ネットに対し、前述の11項目をチェックする場合もあるが、ノイズ源として影響の大きい、シングルエンドクロック信号や高速DRAMバス配線に限定し、重要2項目のチェックを行うことを推奨としている。

図1は、信号種別の放射ノイズ測定結果例であり、シングルエンドのクロック信号の放射レベルが高いことが分かる。

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図1 信号種別の放射ノイズ測定結果


図1 信号種別の放射ノイズ測定結果

3.チェック検証例(GVプレーンまたぎチェック)

“GVプレーンまたぎ”とは、信号スルーホールによる層間接続の際、リターン電流経路がGNDから電源(または電源からGND)へ移ることを意味する。GNDと電源は、絶縁されているため、リターンパス不連続が発生し、EMI増加につながる。この対策のため、“GVプレーンまたぎ”個所の近くにコンデンサを配置し、G-V間をAC的に短絡させ、リターン電流のパスを作る対処を行う。このチェック例を図2に示す。

図2 GVプレーンまたぎチェック検証例

 



図2 GVプレーンまたぎチェック検証例

前述のコンデンサ位置の判定基準は、GVプレーンまたぎ個所(スルーホール)から5mm以内とされているが、コンデンサからプレーンへ接続するまでのビアを含んでいる。

結果として、図2(a)の下側のコンデンサは5mm以内に配置されているが、GNDビア、電源ビアまでの距離が5mmを超えるため、Fail判定となる。また、信号②と⑦はPassしているが、部品端子近くのビアは対象外とされるためである。

弊社では、重要ネットに限定したチェックを行う場合、この制限を無くし、対象ネットに含まれる全てのビアに対しチェックを行うことで、(b)のように全てをFail検出できるように運用している。

4.まとめ

弊社は、独自の検証パターンを用いてEMIルールチェック項目の確認を行い、妥当な判定値を求め、これを盛り込んだものを社内運用基準としております。

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